アイアンマンドイツ 70.3ヴィズバデン 大会レポート 2008.08.10 ―初めてのヨーロッパー 記:sugimoto
これまで何となく行くチャンスが無かったヨーロッパ、仕事をリタイアした今年はきっかけとしても最高だった。ここビッズバデンは1000年来の古きドイツをそのままに今に残した街で、旧市街は石畳の道だ。寺院を中心に広がる広場では夕暮れともなればどこから来たとも知れぬ人盛りがテーブルを埋め尽くし舞台ではいろんなジャンルのバンド演奏が鳴り響く、ダンスも始まる、まるで野外劇場だ。飲んでいるのは全てワイン。これまでドイツ=ビールのイメージが強かった自分にとって。何で?。。。。これまで全くドイツに関する調べをしてなかった自分にとっては、まず初めての「意外」でした。(この地方はドイツでも葡萄の産地で有名だった。)それにしても美味い。けして嫌い?とは言えない「ワイン」、何とか持ち合わせる語学力を駆使して香りの高いワインにありつくことが出来ました。
(スイム編)大会前日、バイクの預託が行われバイクと一緒にスイム会場にバスで乗り込んだ。スイム会場はゴール地点から数キロ離れたライン川入江の細長い湖の様な所でここを一往復する。湖の中央にはコースを示す黄色いブイが一直線に伸びている。水質は綺麗とは言い難いが予想の範囲内だ。湖の岸辺にはかなりの数のヨットが停泊している。ライン川の景色も含めロケーションはなかなかだ。バイク預託会場はゆったりとした間取りで規模として同じ程度の宮古島に比べ3倍程度の広さはあろうか。バイク預託にはIDカードは無いがエリア内に入る時は選手一人ひとりに籠が与えられ、監視と思われる助勢員がエリアから出るまで付添う徹底ぶり。混雑を避けるためか、預託にはゼッケンNOごとに時間が指定されほぼ1日掛けている。今日は朝から日が差したり曇ったりでまずまずの天気である。スイム開始は8:00である。この種の大会としては遅めのスタートだなぁと思っていたが、考えてみるに夜は9:00まで明るいこの地としてみれば、早朝にスタートする理由は全くない。ウエットスーツ着用はアイアンマンルールに従い水温が24℃以下の為、OKだ。8:00プロの集団がスタート以後10分毎に各年代別にスタートしてゆく、私は9:10分8番目の集団で最後の集団はリレーチームであった。10分前になり入水しようとした時、仲間のMにトラブル発生。何とゴーグルのノーズ部分が切れたのだ。一瞬焦った。大会関係者を探す。いた。。。しかも手にゴーグルを持っているではないか。こんな事態を予測し、準備していたとしか考えられない。たった3分程度の出来事であったが素晴らしい緻密な運営を見た気がした。そしてなにも無かったかのようにすぐ入水、岸から約30m沖合からのフローテングスタートラインに着く、バトルの心配もコースから外れる心配もない。950mでの折り返しをスムーズにこなし、間もなく後発の集団が自分を追い抜いてゆく。まったく予想どうりの展開で、焦る事もなくマイペースでスイムアップ出来た。
(バイク編)あらかじめコースマップを見ていたのでタフな事は予測していたものの、現実となってマイッタ!の一言に尽きる。スタートは川辺で当然低位置である。しかし大した高い山が見える訳でなし、そんな坂道なんて想像したくない。数キロの間、平坦な町外れの景色が過ぎてゆく。いつもの様にスイムアップ直後はバイクに慣れるまでの間ゆっくり目に走る。今回もそのつもりで走っているがどうも周りの人とのスピードが違う。どんどん抜き去ってゆく。納得のいかないまま兎に角マイペースをキープ、やがて郊外に出ると平坦だった道がとたんに上り坂にさしかかった。時折小雨がぱらつき上りといえど寒いくらいだ。小雨にぬれた森林は青葉がすがすがしい、しかし延々と坂道が伸びている。改めてコースマップを思い出し半端じゃない事を思い知らされた。だらだらと、時にダンシングでしのぐ坂道が10km程度続いたろうか、やがて前方が開け北海道の「美瑛の丘」に来てしまった?と思わせる広大な丘陵に出た。多分牧草を刈った後であろう大地の広がりは雄大でのどかだ。今レース中だった事を忘れさせてしまう。丘陵ををしばらく走ると、当然ながら今度は長い下り坂だ。寒い、身体がこわばる。慎重に下ろう。今回のバイクコースはほとんどが山間部で谷間と小高い丘陵を行き来する一周回のコース設定。山間部を通り抜けると、時々集落が現われ熱烈な応援を受ける。時にはビールを飲みながら応援を楽しんでいるようにも視える。上り坂でもがき、あえいでいる時は「アップ!アップ!アップ!」と気合を入れられる。(多分宮古ではワイド!ワイド!の様につまりファイト、ガンバレの意味だろう)こんなパターンのアップダウンが4回繰り返されやがて前方に壁の様に立ちはだかる10%はあるだろう坂道ではこれまでにも増して応援がすごい。(身振り、言葉の雰囲気からこの先は下りだから最後の頑張を。。。と言ってるようだ)はたして、稜線を登り切ると残り約9kmをほとんどペタルを踏むことなく市街地に突入ゴール会場になだれ込んだ。コースのほとんどが山間部とはいえ、全域完全に交通規制され一般車をみる事は一度もなかった。そして路面が完璧なまでに補修されている事に驚いた。補修の跡をいたる所に見受けるが全く段差を感じない、レースの後半には路面に対する警戒心が薄れていくのが怖かった。
(ラン編)ランコースは街の中心街から延びる森林公園を3周回するコース設定。いたる所に応援の人盛りである。ここんとこロングのレースでは脚の痙攣に悩まされその対処法で試行錯誤していた。今回は大して暑くもなかったがバイクでは汗もでないと思いつつも給水、塩分補給はこまめに心がけた。もちろん昨年シンガポールでのガス欠に対する対策にも十分対応したつもりだ。功を奏してか、あの山道のバイクコースをこなしてきたがランに突入してもまだ足はほぼ健在だ。しかしながら2周目に入り緩やかな登り道に入ったところで確実に足にきている事が分かった。一瞬太もも内側がビリビリときた。今回の最大目標は歩かない事。歩かないですむ走りをする事でした。何とか我慢の走りを持続する事でした。3周目に入りいよいよ脚が限界にきている、膝の上の筋肉がビリビリと今にも切れる様な痛みを感じ我慢する事が良いのか悩む、とにかくスピードを落とし維持する事に徹するしかなかった。全体での完走者は1662人、私は7:14分で1558位だった。(65歳代3位)宮古等では順位を上げているバイクパートの順位が1602位と相対的に遅い、つまりドイツのバイクレベルが相当高い事を感じた。市街地には自転車のレーンがある。電車にはそのまま積める、市民権を得ているのだ。バイク愛好家の人口は多く底辺が広い事を感じた。